魔性性を持ち破滅を授けるレッドブルみてえな吸血嬢の話
「えへへ、これで俺君はわたしのものだね」
刃物キラッ、〇体と一緒にniceboat.
もう見飽きたヤンデレ像。
精神〇〇者としか思えない行動の数々。
寒いんすワ。愛情の深さの裏打ちもろくにねえしよ。
ありふれたサブカル典型ヤンデレ(笑)ま~ん(爆笑)なんかとは比べ物にならない、そんなヤンデレ物。
いや、ヤンデレ物なんてくくりにしたくはない。
ぼくは常日頃から作品に対するレッテルが嫌いだ。
だからこれも純愛。
繊細に練られた世界観と作者の各方面への深い知識のおかげで彼女と彼の薄氷の如き関係性がとても愛おしくなる。
だって、なんだよ。雨に関した語彙が吸血鬼への配慮のために失われていくって。合理的配慮と過剰配慮の狭間に言語が消えていくってもうそれ、エゴとエモじゃん。
古来より女が足への接触を許すって事は全てを捧げるってなんだよ、有史2000年の積み重ねパンチをやめてくれ。知識の奔流に飲まれてしまうわ。
厳格な聖職者みてえな彼、魔女狩りによって失墜したキリスト教に生み出された怪物になぞらえた彼女。
虫や霧、ネズミやコウモリに姿を変える化け物のように、彼女もまた心の姿を変える。
お嬢様なのに手料理もできる家庭的な彼女。
二人きりで誕生日を祝いたくて引き留める健気な17歳。
彼を意のままに操ろうとするコウモリになってみたり。
過去を刺激して既成事実を得ようと毒婦めいたり。
そんなヒロイン像も確かに素敵だよ、でもそれ以上に主人公である彼の魅力がすごい。
確かに彼はかの吸血嬢にゾッコンだ。
でもそれは彼女の後ろに透けた今は亡き初恋の相手を重ねているから。
自分の感情に対して明確な答えが出ないから、不安定な怒りか嘆きに分類できないナニカを彼女にぶつける。
そんな彼を優しく包み込む天使、彼にとっては。
ぞわぞわと支配されていく様をみてくれ。